屋外機器をソーラーパネルで運用するには?

― バッテリー容量と発電量から考える ―
屋外に設置する機器を、ソーラーパネルで充電しながら長期間運用する。
電源の確保が難しい場所では、とても便利な方法です。
ただし、ソーラーパネルは「パネル定格で発電できる」というものではありません。天候や季節、設置場所によって発電量は大きく変わります。
では、どのくらいのソーラーパネルを用意すれば、屋外機器を安定して動かせるのでしょうか?
ここでは、弊社の害獣撃退装置(ホーンスピーカータイプ)を例に、できるだけ簡単に考えてみます。
1.まず「使う電力」と「作る電力」を考える
ソーラーパネルで機器を運用するときに重要なのは、大きく分けて次の2つです。
(1)機器が1日にどれだけ電力を使うか
(2)ソーラーパネルが1日にどれだけ電力を作れるか
さらに、日照が少ない日が続いたときのために、バッテリーが何日分の電力を蓄えられるかも重要になります。
今回の計算では、弊社製品について次の条件を想定します。
今回の前提条件
(1)内蔵バッテリー:3500mAh、6.8V(約23.8Wh)
(2)ソーラーパネル:最大出力5W
(3)充電回路:MPPT方式
(4)充電・電力変換などを含む効率:80%程度と仮定
(5)動作時の消費電力:約1.36W
(6)待機時の消費電力:約0.00068W
(7)発声:10分に1回、1回あたり最大60秒
「10分に1回、60秒」と聞くと、かなり頻繁に動作しているようにも感じます。
それでは、実際に1日どのくらいの電力を使うのか見てみましょう。
2.この装置は1日にどのくらい電力を使う?
まず、スピーカーが動作しているときの消費電力は約1.36Wです。
1回の発声が60秒なので、
1.36W × 1/60時間 ≒ 0.023Wh
となります。
これが10分に1回、つまり1時間に6回発生すると、
0.023Wh × 6回 ≒ 0.136Wh/時間
です。
待機中にもわずかな電力を消費しますが、こちらは約0.00068Wと非常に小さいため、発声時の消費電力と比べるとほとんど影響しません。
これらを合わせると、
1時間あたり約0.137Wh
の電力を消費すると考えられます。
1日では、
0.137Wh × 24時間 ≒ 3.3Wh/日
となります。
つまり、この使用条件なら、1日に必要な電力量はおよそ3.3Whです。
ここまで計算すると、ソーラーパネルに必要な発電量が見えてきます。
3.5Wのソーラーパネルで足りる?
今回使用するソーラーパネルは最大出力5Wです。
ただし、ここで注意したいのが、「5Wのパネルだから、1日中5W発電する」という意味ではないということです。
ソーラーパネルの5Wという数字は、基本的には良好な条件での最大出力を示すものです。
実際の発電量は、
(1)晴れているか、曇っているか
(2)季節
(3)パネルの向き
(4)設置場所
(5)周囲の建物や樹木による影
などによって変わります。
そこで、発電量を考えるときには、「1日に何時間、5W相当の発電ができるか」という考え方を使うと分かりやすくなります。
例えば、1日に3~4時間程度の「5W相当の発電時間」があると仮定すると、
5W × 3~4時間 = 15~20Wh/日
となります。
さらに、充電回路などの損失を考えて80%程度とすると、
約12~16Wh/日
が、実際にバッテリー側へ供給できる電力量の目安になります。
一方、機器が1日に使用する電力量は約3.3Whでした。
つまり、
発電量:約12~16Wh/日
消費量:約3.3Wh/日
となり、平均的な日射条件であれば、発電量が消費量を十分に上回ります。
4.なぜバッテリーが必要なのか?
「それならソーラーパネルだけで動かせるのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、ソーラーパネルは夜間には発電できません。
また、雨の日や曇りの日には発電量が大幅に低下します。
そこで活躍するのが、内蔵バッテリーです。
今回のバッテリーは、
3500mAh × 6.8V ≒ 23.8Wh
の容量があります。
もちろん、実際にはバッテリーを100%から0%まで完全に使い切れるわけではありません。機器を安全に保護するための回路や、電圧変換などによる損失もあります。
そのため、ここではあくまで「理論上の容量」として23.8Whを目安にします。
5.では、曇天が続いたら何日使える?
ソーラーパネルがほとんど発電できない、かなり厳しい条件を考えてみましょう。
仮に、ソーラーパネルからの充電がまったくないとします。
機器の1日の消費電力量は約3.3Whなので、
23.8Wh ÷ 3.3Wh/日 ≒ 7.2日
となります。
つまり、単純計算では約7日分の電力をバッテリーに蓄えていることになります。
実際には、バッテリーを完全に使い切ることはできないため、もう少し余裕を見て考える必要があります。
それでも、今回の使用条件であれば、
「数日間、日射がほとんど得られなくても運用できるだけのバッテリー容量がある」
ということが分かります。
6.ソーラー運用では「平均」だけでなく「悪天候」も考える
ここまでの計算で重要なのは、単純に
「5Wのパネルだから大丈夫」
と判断しているわけではない、ということです。
ポイントは、
① 機器が1日に使う電力量
② ソーラーパネルが1日に作れる電力量
③ 日射が少ないときにバッテリーで何日耐えられるか
の3つを比較することです。
今回の例では、
(1)機器の消費:約3.3Wh/日
(2)ソーラーパネルから得られる電力:約12~16Wh/日(条件による)
(3)バッテリー容量:約23.8Wh(理論値)
(4)無充電時の持続時間:約7日(理論値)
となります。
このように、普段の日射で十分に充電でき、日射が少ない日にはバッテリーが補うという関係を作ることが、ソーラーパネル運用の基本です。
7.ソーラーパネルの大きさを決めるときのポイント
屋外機器をソーラーパネルで運用する場合、「機器の消費電力」だけを見てパネルを選ぶのではなく、次の点を確認することが大切です。
① 機器は1日にどれくらい電力を使うのか
常時動作する機器なのか、今回のように断続的に動作する機器なのかによって、必要
な発電量は大きく変わります。
② 設置場所の日照条件はどうか
同じ5Wのソーラーパネルでも、設置場所や季節によって発電量は変わります。
特に、木や建物などの影がパネルにかからないかは重要です。
③ バッテリーは何日分の電力を蓄えられるか
晴天時だけでなく、雨天・曇天が続くことも想定しておく必要があります。
④ 充電回路の効率も考える
ソーラーパネルで発電した電力が、そのまますべてバッテリーに蓄えられるわけでは
ありません。MPPT方式の充電回路を使用していても、回路やバッテリーの充放電に
よる損失があります。そのため、余裕を持った設計が重要です。
― 「消費する量」と「作れる量」のバランスが大切 ―
ソーラーパネルで屋外機器を運用するとき、難しそうな計算がたくさん必要に思えるかもしれません。
しかし、基本的な考え方はシンプルです。
機器が1日に使う電力より、ソーラーパネルが1日に作れる電力が多いか?
そして、
日射が少ない日が続いたとき、バッテリーでどのくらい持ちこたえられるか?
この2点を確認することが重要です。
今回の弊社の害獣撃退装置では、1日の消費電力量が約3.3Whであるのに対し、5Wのソーラーパネルから得られる電力量は、日照条件にもよりますが約12~16Wh/日が一つの目安になります。
また、約23.8Whのバッテリーを搭載することで、日射がほとんど得られない状態でも、理論上は約7日分の電力を蓄えることができます。
もちろん、実際の運用では地域・季節・天候・設置条件などによって発電量は変わります。
だからこそ、屋外機器をソーラー運用するときには、
「パネルの定格出力」だけで判断するのではなく、機器の消費電力、日々の発電量、そしてバッテリー容量をセットで考えること
が大切です。
弊社では、実際の製品の使用条件をもとに、こうしたソーラー運用の検討を行っています。
「この機器をソーラーパネルで運用できるだろうか?」
という場合には、まず機器が1日にどれだけ電力を使うのかを把握することから始めてみてはいかがでしょうか。

合同会社YNE

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